少年陰陽師

□摩訶不思議
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「紅蓮さん?」

そう呼び掛けられた紅蓮は、はっと我に返る。

さっきの話がもし事実なのだとしたら。

「お前は…本当に」

「? はい、私は昌浩の記憶を引き継いだ『昌浩』ですけど」

いわば生まれ変わり。俗に言う「転生」というもの。

にわかには信じられない話だが、彼女が嘘をついているとも思えない。

何故二人が出会ったのかとかココは何処だとかいう疑問はこの際無しにして。

「…」

「…」

「…」

「…あの!」

一人悩む紅蓮の腕を千浩は唐突に掴む。

「――なんだ」

「あ、えっと…考えるのは、後にしません?」

私も今のこの状況をあまりよく分かっていないし、と千浩は苦笑する。

「折角こうして出会えたのだから―少し…他愛無い話でもしましょうよ」

「…」

「い、嫌ですか…?」

「…分かった」






似ている。

ばればれな気の遣い方とか、暖かく笑ったり泣き出しそうになったりする仕草とか、時折見せる幼い所だとか。

それを見る度に、やはり…と感じてしまう。

やはり、この子は昌浩の生まれ変わりなのだと。

「…」

ふと。

ある考えが頭の中を過ぎっていく。

彼女が昌浩の記憶を所有し、尚且つここまで似ているのならば。

……………。

試してみる価値はありそうだ。
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