少年陰陽師

□繋ぐのは神
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「………」

年老いた者の様に縁側に腰掛ける青年は何処か遠い目をして彼方の空を見上げていた。

時は平成。

科学が家庭の全てを担う筈のこの世で障子を開け放したままの青年の部屋は科学と言う科学があまりない。

天井に付いた照明と扇風機のみな科学。

後は机や箪笥に布団…置いてある物は確かに現代の代物なのに其れ等は大分前からあったみたいに堂々と鎮座している。

とても清潔で―殺風景な室内を爽やかな微風は凪ぐ様に通り過ぎていった。

「…はぁ」

祖父が入院して、早一ヶ月。

母と父は祖父の入院代やら長兄、次兄の仕送り代やらで毎日休む間も無く働いている。

のんびりと座る青年自身だって働きたいのは山々なのだが…

「なんで、俺は留守番係なんだろう…?」

最近近所で増える空き巣や強盗の所為で家から出られずにいた。

元々祖父に似て病弱な青年を働かすのに反対していた両親からしてみれば好都合ではある。

しかし。

青年は祖父似の生真面目で根っからの優しい性分なのだ。

「…はぁ」

―――何か、俺に出来る事はないかなぁ…

青年が持つのは一握りの知識と朧気な前世[カコ]の記憶。そして人知れぬ力だけだ。

祖父ならこの状況をどう打破するのだろう。

青年の思考は何時も其処で止まり…止まるのに、今回は少し違った。

―――……。

「…え?」

自分のものではない何かが頭の中へ流れ込んでくる。

―――……ろ。

「…!!」

其れからは青年も詳しくは覚えていない。

唯――気が付けば。

がむしゃらに、本能の思うがままに、無意識に。

訳の分からない手の組みをして訳の分からない変な言葉を懸命に紡ぎだしていた。

「――――出でよ、十二神将!」

光が辺りを包み込む。

「ぅわっ…」

青年は思わず目を閉じ、しゃがみ込んで――

「…昌浩?」

「…へ…?」

突然、名を呼ばれた。
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