少年陰陽師

□摩訶不思議
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「嬉しいです」

少女は笑う。

「紅蓮さんとお話が出来て」

無邪気で素直で純粋な笑みを神将に向ける。

「そういえば、自己紹介がまだでしたね」

自身を指差して、少女は言った。

「私の名前は千浩[チヒロ]。そして、昌浩です」

二つ有るんです。変わってるでしょ。

「でも、そちらの世界では名前なんて一人に対して沢山有りますよね」

こっちはそれが異常なんですけど。

まぁ、それは置いといて。

辺り一面黒い中で白い少女はやはり笑みを浮かべる。

先程と同じ、穢れを知らない花のような笑みを。

「紅蓮さんは、昌浩の記憶でしか知りませんでしたから―こうして会う事にちょっとだけ感激です」

安倍の血筋、杉橋千浩[スギバシチヒロ]。

またの名を、「平成の」安倍昌浩。

彼女の話が一区切りつくまで「平安の」紅蓮はずっと瞳を開きっぱなしだった。
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