天 下 覇 道

□果てし無く続く(みち)を歩む
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安土山から戻り、一週間ほど甲斐の国で休息を取った後奥州へと戻った。
織田との背水の戦での疲れを癒すために。
そして、膠着を経て来るべき乱世で戦い抜くために鋭気を養っていた。



政宗と氷澄は隣り合って縁側に座っていた。
ポカポカと温かい日和が二人を包み込む。
氷澄は玉露の注がれた湯飲みをジッと見つめる。






「何だか、夢を見ていたようだ・・・」






氷澄はポツリとそう呟いた。
政宗は氷澄の呟きを静かに黙って聞いている。




「織田との背水の戦、自分が死んで生き返った事・・・・・。
全部本当なのにまるで夢のように思えてくる」




と言って氷澄は湯飲みに口をつけ玉露を流し込むように一口飲んだ。
何処か不安げな表情で氷澄は苦笑いを零した。
そんな氷澄が今にも消えてしまいそうで政宗は堪らず氷澄の肩を抱き寄せた。
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