天 下 覇 道
□神龍、現る
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氷澄の亡骸を抱いたまま政宗はピクリとも動かなかった。
周りには重々しい空気が流れ体に纏わり付くように絡み付いてくる。
「政宗殿・・・・・」
幸村は沈黙したままの政宗を心配そうに見つめた。
そして、政宗は誰に言うでもなくポツポツと言葉を紡ぎ始める。
「俺は・・・弱ぇ・・・・。惚れた女を見殺しにしちまった・・・」
「政宗殿!そんな事は・・・!!」
「Then is it why!?氷澄が苦しんでいた時に俺は、俺は何も出来なかった・・・。
ただ、アイツが苦しんで死に逝く姿を見てただけだ!!」
グッと唇を噛み締め氷澄を抱き締める力を強くした政宗。
その政宗の姿は余りにも痛々しく見ているだけでもその辛さがハッキリと伝わってくる。
一番大切な氷澄を死なせてしまった、政宗にとって耐え難い苦痛と屈辱であった。