ブラコンZ

□フリーザ編@
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ベジータと戦って負傷した悟空達は、西の都の病院にいた。
全身をやられた悟空は特殊医療ベッドに寝かせられ、動けない状態だった。
「オレと悟飯は三日も入院してればいいってよ」
傷数は多いものの、立って歩けるクリリンは悟空の顔を覗きながら言った。
「オレだってひでえめにあったのに、入院もなしだぜ」
ヤジロベーは舌打ちをした。
「オレ達も入院はない。そもそも怪我らしい怪我もないしな」
餃子と並んだ天津飯が言った。
「すまない。お前達が大変な目に遭っている時に、何もできなくて」
顔を曇らせてクリリンに詫びた。
「いいんですよ。命あっての物種ですから」
クリリンは明るく言った。
「謝ることじゃないですよ」
「謝るのは、ぼくの方です」
隅の方から小さく低い声がした。
暗い顔で一人座っていたターブルだった。
あの後、他の者達と運ばれたターブルはこの病院で目が覚めた。
彼らはターブルを責めることはしなかったが、罪悪感で潰れそうだった。
「ターブルだっけ? んな暗い顔しなくていいよ」
クリリンが落ち着いた声で言った。
「でも、あなた達の仲間の一人はぼくらのせいで…」
ヤムチャのことだ。
「それも、大丈夫だと思うぜ。悟空みたいに、きっと甦らせることができる」
「でも、あのナメック星人がもうドラゴンボールは使えないって」
「ああ、地球のドラゴンボールはな」
クリリンは含みのある言い方をした。
他の者の表情も穏やかだった。
「ベジータの奴がナメック星のドラゴンボールのことを言ってただろ。それを探そうと考えているんだ」
「え?」
戦いの後の飛行機の中の話をターブルに説明した。


「それでナメック星に行こうと?」
「ああ」
クリリンは頷いて答え、ターブルはやっと理解した。
「ちょっと皆、テレビ見てよ!」
勢いよく入ってきたブルマが着けたテレビのニュース画面には、東の都にあったアタックボールが映っていた。
「あ。あれ、ぼくの乗ってきた」
ターブルはそのことに気付いた。
「ああ、ナメック星に行くのにお前たちの宇宙船を使わせてもらおうかと思ってたんだ。地球の宇宙船じゃあ、すっげー時間かかるんだよ」
またクリリンが説明した。
「そうでしたか」
「見ててよー。このリモコンであの宇宙船を今動かすから」
ブルマはリモコンのボタンを押し始めた。
「あっ!ダメです!むやみに押しちゃっ!」
ターブルが気付いた時にはもう手遅れだった。
テレビの中の宇宙船は爆発して、木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「そ、そんな! なんでぇ――!?」
ブルマは絶望の叫びを上げた。
他の者も顔を固まらせている。
「そのリモコンは、最初に暗証番号を打ち込んでから操作するんです…」
ターブルが申し訳なさそうに言った。
「なんでそれを速く言わないのよ!」
「す、すみません」
ターブルは体を小さくさせた。
「も、もうだめだ…」
クリリンも床に倒れていた。
「おい」
「ぎゃあっ!!」
窓からミスター・ポポが声をかけてきた。
「誰かついてこい。宇宙船ある」
「え?」
ミスター・ポポの言うことによると、宇宙船と思われる物の心当たりがあるが、よくわからないため調べて欲しいとのことだった。
そこで、機械に強いブルマが行くことになった。
二人の乗った絨毯は、一瞬で姿を消した。
「…彼?も、地球人なんですか?」
「……」
ターブルの質問に、誰も答えることは出来なかった。
ミスター・ポポは『地球人』と断言していいのだろうか?


ミスター・ポポとブルマが戻ってきた。
例の物は宇宙船だったと解り、ブルマ・クリリン・悟飯がナメック星に行くということで話がまとまりかけた時、
「あ、あの」
ターブルが声を上げた。
「ぼくも連れてって下さい」
皆がターブルに注目してきた。
「やっぱりぼくにも責任はります。手伝わせてください」
「そこまで言うなら…」
クリリンはブルマと悟飯を見た。
「二人はいいですか?」
「ボクはいいですよ」
悟飯は微笑んで答えた。ブルマもじっとターブルを見定めていた。
「そうね。君なら無害そうだし。いいんじゃないの?」
「ありがとうございます」
ターブルは頭を下げた。
ターブルは一人心に秘めている考えがあった。
確かに亡くなった地球人への罪悪感から一緒に行くと言い出したのもある。
しかし、他の理由もあった。
ナメック星のドラゴンボールのことを知っていたのはベジータだ。もしかしたら兄もすぐにナメック星に行くかもしれない。
自分の宇宙船が無くなった今、彼らと共にナメック星に行った方が早く兄さんに会えるかもしれない。
そう考えていた。
「ねえ、君も入院はないんでしょ?」
ブルマがターブルに近付いた。
「あ、はい」
「なら、宇宙船の改造手伝ってよ。そのまま家に泊まってもいいからさ」
「わかりました。よろしくお願いします」
ブルマは皆の方に体を向けた。
「じゃあ、10日後にカメハウスで!」


というわけで10日間、ターブルはカプセルコーポレーションに住み込みながら、宇宙船の改造を手伝った。
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