獄ツナ
□どきどき *
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ふと何も知らない綱吉は未だに気持ちよさそうに眠る顔が目に入る。
考えてみれば綱吉は普通よりも小柄で、男子にしては丸い表情をする。体重も本当に軽く、身体は柔らかかった。
って、だから!
俺は変態かっ!
10代目で何してんだ。
そうだ、10代目なら何だっていいじゃねーか。男でもおん………
「ん、んー」
びくりと、肩を震わせる。身動ぎをした綱吉は男だとは思えない表情で、幸せそうに微笑む。
刹那、隼人の中で何かが切れた。柔らかいその頬に触れて顔を近付ける。
シン、と静寂が支配した。
感じる温もりに酔いながら、隼人は何度もその行為を繰り返す。
「ん、んん!」
ついに綱吉が目を覚ました。突然何が起きているのか理解できず、ただ反射で隼人の身体を押し返した。
「な、な、何?」
真っ赤になった顔を隠すように手を持っていき、震えた声で叫ぶ。そんな慌て振りを見て隼人はやっと我に返った。
さぁっと綱吉とは正反対に青い顔をして勢いよく床に頭を打ち付けた。床が壊れるのではないかと思うくらい振動する家を気遣ってか、純粋に隼人を気遣ってか、綱吉はやめてと止めさせた。
「すいません! すいません!」
「もうそれはいいから! ……何でしたのさ」
少し低めの声は責められているようで、思わず顔を俯かせる。