企画小説
□肝試し
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「結構何もないね」
「そっすね。期待して損しました」
期待という言葉のニュアンスが違う気がしたが、綱吉はあえてスルーする。
「にしても毎回こういうことしなくていいし。前回なんてランボがペアでしかもロメオ出て来るし」
「それは確かにウザいっすね。でも今回は俺嬉しいです」
本当に明るい声で話す隼人に綱吉は不思議そうに傾げた。
「だって、こういう風に二人っきりになれるんですから」
にかっと爽やかに笑って手を強く握られる。かぁっと顔が熱くなった。
どうしてこうすっぱりと言葉にして言えるんだろうか。
ヒヤリ
「ひゃぁ!」
「10代目!」
「首に何か冷たいのがっ!」
「な、10代目に無断に触るなんて―――」
違う、怒る所違うっ!
ヒヤリ
「わぁ!」
綱吉に続いて隼人にも同じく首に冷たい何かが当たる。互いにわたわたと焦れば、何故か地面が揺らぐ。そして、沈む。
「「わぁぁ!」」
ちくちくと木の枝が身体に突き刺さる。ガサガサと動く度に草が音を鳴らした。
すっかり落とし穴にハマった二人は茫然としていた。何故肝試しで落とし穴なんだろうか。
しかも、地面に落ちているものを見ればコンニャクだ。首に当たってたのはこれだったのか。