企画小説

□言葉のいらない関係
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ゆっくりと唇を離してジョットを解放すれば、すっかり静かになって、呆然と視線を向けてくる彼に眉を寄せた。


「んだよ」

「いや、欲求不満なのかと思って」

「………は、そんな心配してくれんなら早く終わらせやがれ。こんなに仕事溜まってるのに俺を休ませてどうすんだよ」

「最近お前は根を詰め過ぎてたろう? 俺が止めないと倒れるまでやるからな。当然だ」


本当、何もかもお見通しっていう言い方がムカつく。


にやにやと笑う彼の顎を掴んで、睨み付けた。


「そう怒るな。今度はきちんと仕事も片をつけて俺も一緒に休んでやる」

「誰が一緒がいいって言ったよ」

「俺がそうしないと休んだ気にならないだけだ」


知ってるだろう? と首を傾げて、今度は彼からGに口付ける。


幼い頃から当たり前のように一緒で。
短所も長所も誰よりも知る、近過ぎる存在。


「………どうしてお前はそんなに面倒な性格なんだ」

「だから右腕はお前じゃないとダメなんだろう?」


あぁ、だからお前には敵わない。
そうやって何もかも当然と言って、俺について来いという。





そんなお前だからこそ、

守りたいと…
素直について行こうと…

──そう思ってしまうことは一生言わないけどな。





『G! 俺は自警団を作る!』

『はぁ? 何言ってんだ! まだ15だぞお前…』

『歳など関係ないだろう? それとも俺が本当に出来ないと思ってるのか?』

『………はぁ、いいさ。やりたいようにやりゃあいいだろ?』

『もちろん、お前も一緒にだぞ!』





過去を思い出して彼は笑う。あれから何年たったか…あっという間なことだったが、懐かしいと思った。


「本当変わらないな。お前は」

「お前は前より心配性になったな」

「誰のせいだよ」

「…さぁな。よし、じゃあ早く終わらせて思いっきり俺を抱いて発散しろ」

「………」


もう突っ込む元気すらなく、Gはとりあえずまた彼の唇を塞いだ。

そんな二人の軽いようで深過ぎる愛のやり取りを存在を忘れられた子猫はじっと見守り、夜は更けていく。





甘いだけの愛の囁きなど必要ない。

互いの心は既に一つなのだから。





end
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