ムクツナ
□深すぎる愛故に ※
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何故か彼がイラついている。
埃一つついていないスーツを羽織って、ネクタイを締める。長くなった髪を一つに括り、自分に見とれる。
「骸様…」
「クローム、渡した服には着替えましたか?」
おずおずと歩み出た彼女の姿に満足して微笑んだ。そろそろパーティーの時間だ。珍しく仕事で彼とゆっくり話ができることを楽しみにしながらも、やはり不安は残ったまま。
全く何を怒ってるんでしょうかねぇ。
溜め息をつきながらも骸はクロームを引き連れて会場へと向かった。
流石ボンゴレのパーティー。
何百という部下達が黒いスーツをまとい、群がっている。こんな所にあの雲雀恭弥はくるはずがないが、他の守護者はもう顔を出していた。
「まだ彼は来ていないようですね」
「骸様、ボスと喧嘩でもした?」
「した覚えはないんですが」
何も言われてもいないし、何もやってもいない。なのに何故彼は…。
そんなことを考えている間に会場がざわついた。
その方向に顔を向ければ、他の者とは少し違う、白い縦縞が入ったスーツをまとった綱吉が会場に入ってきていた。