ムクツナ
□僕とキスしませんか?
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「む、むむ骸! 誰かに見られたら………!」
「気にしません」
「気にしろよ!」
心外とばかりに顔を歪ませて骸は低い声音を出した。
「嫌、なんですか?」
嫌じゃない、嫌じゃない!
だけど、だけど、やっぱり最近お前おかしいよ!
「―――〜〜〜! ごめん、先帰る!」
思い切り骸の手を引きはがして、綱吉は走り出す。自分の家の玄関に入った瞬間、膝が力を無くしてその場にへたりこんだ。
熱くなった身体に戸惑いながら、無理やり逃げて来たことを後悔した。
今度どんな顔で会おう…。
やっと力を取り戻して2階に上がる。ベッドにダイブすると冷たい布団が綱吉の熱を冷やしていった。
告白と共にデートに誘ったのは俺からだ。
だけど、びっくした。そのたった一回で骸が俺のこと好きになるなんて思わなかった。
更にこんな行動…。
あれは、本当に骸の気持ちなんだろうか?
嬉しいはずのその行動が素直に喜べない。それは、多分、今までの骸の性格を理解しているから。
彼が自分を好きになる理由が見つからないから。一体どこを好きになってくれたのか。
「俺も曖昧な告白したくせに…」
わかってる。こんなこと考えていたってどうしようもない。
だけど、まだ信じられなくて、まだわからなくて。
素直に受け止めなれなかった。