ヒバツナ

□笑顔の行方
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甘く、優しく響く声が離れない。





「うっわぁ」


綱吉はイーピンから渡されたあるものを見せられて思わず声を上げた。しかし、すぐにそれは彼女に取られて無くなる。照れくさいのかそのまま走り去ってしまった。


「え、ちょ! イーピン!」


呼び掛けるが、もうその場にはいない。諦めて先程見たものを頭に思い浮かべる。


どこからどう見ても雲雀さんだ。


彼女が見せてくれたのは先程彼に試練を与えた風の写真。しかもアルコバレーノになる前らしいが、何故赤ん坊になる前が大人なのだろうか。
そんな疑問も頭にちらつくが、あえて無視し、もう一度思い浮かべる。
優しく笑んだ綺麗な表情。
艶やかな柔らかい黒髪。
それは本当にあの雲雀恭弥と瓜二つ。もしかしたら血縁者なのでは、と疑ってしまう。


兄弟とか………。トンファーってのも中国系じゃないっけ?


いや、まさかなと考えることをやめた。
彼が違うことは柔らかい空気と穏やかな笑顔だろう。顔は同じだというのに、恭弥とは正反対の性格をしている。


雲雀さんがもしあんなんだったら………。
いや、無理だ! 想像できない!


自分は今恐ろしいことを考えていると、判断して綱吉は頭を振った。





 
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