もらい物と捧げ物とコラボ物
□無防備な君に… ※
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「沢田綱吉、今月何回目?」
冷たい声音に背筋が凍る。目の前にいる並盛最強の風紀委員長様は、名簿に視線を送りながら溜め息をついた。
「じゅ、十回め――」
「十二回目だよ。そろそろ本気で咬み殺さないといけないみたいだね」
「う、」
本気だ。絶対本気だ。
楽しそうに吊り上がる唇に冷や汗を流して、綱吉は息を飲んだ。ここからどう逃れるべきか悩む。だが…
今逃げたって、結局後で会うじゃん!!
そう、それは確実。もしここで逃れても、綱吉が応接室に行かなくても、彼は今日中に彼の所に来るだろう。
「あ、あの……すいません! もうしませんから!」
「………仕方ないね。まぁ、何かあっても僕はすぐに君をどうこうできるわけだから、今日は許してあげるよ」
柔らかい口調に胸を撫で下ろした。
あぁ、彼と付き合うというのは時に寿命が縮むほど恐ろしいことでもあるのだな。
改めて認識したことに苦笑した。それに気付いたのか、そうでないのか、恭弥はがしっと綱吉の頭を掴む。
「何してるの? 早く教室行きなよ」
「は、はい!」
勢いよく綱吉は走り出した。途中でコケる彼に心なしか微笑して、恭弥も応接室へと戻って行った。
教科書に載る文章をゆっくりと読み上げる先生の存在などないかのように、綱吉は思考を違う方へと飛ばしていた。
今日も、応接室。
クルクルとシャープペンを指で回しながら、微笑んだ。
二人が付き合い始めたのは二ヶ月前。きっかけは恭弥からの告白だ。けれど、恭弥が自分のことを好きになる要素が見当たらず、彼はずっと逃げていた。
逃げて、逃げて、それでも少しずつ恭弥の想いが染み渡り、一ヶ月たって両想いとなったのだ。
そして、それから二ヶ月。もう二人は行くとこまで行く深い関係になった。
でも、俺の体力がもたないから、そこまでヤってないんだよなー。
かぁ、と一人で赤くなった。
未だにお付き合いというものを口にするのも恥ずかしい彼は、誰にもこの関係を打ち明けてはいない。
そう、リボーン以外は知らないはずなのだ。
本来なら。
綱吉は、今日、自分の反射神経の悪さと、警戒心の無さを心底恨むことになる。