もらい物と捧げ物とコラボ物
□君と僕の日常
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「はーい、皆、お父さんとお母さんの絵を描きましょうね」
幼稚園の先生の声に合わせて園児達は大きな声で返事をした。
めんどくさい。
その言葉に一人乗り気じゃない園児が一人。紙に何も描かず、ぼーっと空を眺めている。
「恭君、お絵かきしようよ」
「くだらないから、しない」
「くだらないって…」
それを見つけた先生が声をかけるが、恭弥はぷいっとそっぽを向いてしまう。溜め息を一つついて、先生はその場から離れた。
じぶんのおやなんてかいて、なにがたのしいの?
本当につまらない。と思って顔を戻せば、大きな甘栗色の瞳と視線が合った。
ふんわりと揺れるススキ色の髪に、その綺麗な甘栗色の瞳をした園児は、恭弥と目が合うと同時に微笑んだ。
「ね、ね、どうしてかかないの?」
「なに、きみ? だれ?」
「オレ? オレはさわだつなよし。えっと、えっと、4さい!」
年なんて聞かなくても同じボンゴレ組だからわかっている。と言ってやりたかったが、それも面倒で恭弥は流す。
「で、どうしてかかないの?」
「かいてもどうしようもないから」
「ふーん。あ、ねえ、ひまならいっしょにあそぼうよ!」
すぐに話題を変えた綱吉に恭弥は話についていけない。
「ぼくはむれるのキライだよ」
「むれ?」
「ぞろぞろいっしょにいること」
「オレときょうくんだけで、むれることにもなるの?」
そう聞かれれば確かに二人だけで群れになるのだろうか。
考えてみるが、どっちにしても誰かと遊ぶなんて恭弥にとっては有り得ないことだ。
「とにかく、いまきみとあそぶ気にはならないよ」
「そうなの? わかった。あそぶきになったらいってね」
にっこりと微笑んで綱吉はその場から離れる。他の所で一生懸命自分の親を描いていた違う園児の所に行き、楽しく話している。
なんだ、ほかにも友だちがいるじゃないか
それならどうして自分の所に来たのか。これなら自分から近づかなければ、もう来ないだろうと恭弥は見越してもう一度空を眺めた。