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□2009.11 ムクツナ
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【君からの、サービス】
違う学校の学生も、普通なら来ない大人も今日は並盛中へ訪れる。
今日は文化祭。それぞれのクラスが前から準備していた出し物を存分に売る行事だ。
「何でお前がいるんだよ」
「おや、つれないですね。恋人がわざわざ遊びに来たというのに」
「誰が恋人だ! 俺はお前に告白された覚えもなければ、OKした覚えもない!」
ここ、綱吉のクラスの出し物がある、"かふぇてりあ"に堂々と顔を出したのは黒曜中の制服をまとう六道骸だ。出されたコーヒーをすすり、のんびりとその言葉を受け止めている。
「君、お客に対して接客がなってないですね。そもそも何で"かふぇてりあ"ってひらがななんですか?」
「その方が可愛いからって女子が言ったんだよ! てーか文句言うなら帰れ!」
「待って下さい! もう一つ注文」
「何だよ」
「ツっくんの萌え萌えオムライスを―――」
「帰れ!!」
イラつきが最高潮に達して綱吉はその場から離れる。まだ休憩時間まで一時間もある。その間に流石に骸も帰るだろう。
しかし、その考えは全く甘く。
骸は何度もコーヒーをおかわりしながら甘いチョコレートケーキを食べて、一時間を綱吉を見ることで潰していった。
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「ツナ〜交代だぜ!」
「あ、山本! 後よろしくぅ」
やっと休憩時間に入り、綱吉はサロンを脱いだ。お腹をかなりすいて、疲労も結構溜まってる。
「じゃぁ、回りましょうか!!」
「まだいやがったのか、コノヤロー!」
にょこっと出て来たのはずっと待っていた骸。当然のように綱吉の腕を引いて行く。力の差でそれに対抗できず、教室を出た。
「あぁ、何でお前と回んないといけないんだよ」
「クフフ、それは当たり前です。友達なんだから」
友達、という単語に綱吉は目を見張る。こんなにも早く関係を修正してくるとは思わなかった。
「何処行くんだよ?」
「クレープ行きましょう! 僕は今チョコレート食べたい気分です!」
変な所だけ子供っぽいなぁ、と内心で笑いながら綱吉はそのまま彼に付き合う。
クレープ、チョコバナナ、ケーキ、アイス………そんな甘い店を五件くらい回った。
「む、くろ………、まだ行くのか?」
「クッフー、やっぱりチョコレートはどんなに食べても最高です」