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□2009.8 ヒバツナ
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【あとどのくらい?】







「ねぇ、君」


ある日の放課後。
珍しく一人でいた彼。
だから、言った。


「君はいつ僕を好きになるの?」





逃げられた。
ものすごく顔を青くして、何かの間違いとでも言うかのように。
何あれ? そんなに僕のこと嫌いなの?


ムカムカするね。


いつからだったか、目に入るようになった。何でかなんて知らないし、きっかけなんてどうでもいい。
だけどさ、この感情ははっきり言っていらなかったよ。



こんなに傷つくなら。





「はぁ」


いつもよりも雲が多い空にすっきりしないまま昼寝を開始する。
だけど、寝れない。


かちゃ


微かに聞こえた扉の音に身体が自然と反応する。感じる気配とこの足音は、多分彼だ。


「ね、てる? よかったぁ、起きてたらどうしようかと思った」


びくびくとした声音にまた、ムカムカする。
あぁ、そんなにも君は、僕のこと嫌いなんだね。
かっと目を開いて彼の腕を掴んだ。これにはやはり驚いて身体を硬直させていることをいいことに思い切り押し倒す。
嫌われてるなら別にいい。
苦しいのは嫌だから、とりあえず…


「襲わせてよ」

「は?! ――――んぅ」


無理やりにキスをして、舌をねじ込めば、彼はすぐに目に涙を溜まらせた。
嫌がってる。そんなのどうでもいい。


君は、僕のモノ。


「雲雀さんっ! な、にを」

「ねぇ、黙っててよ。どうせ君は僕を好きにならないんでしょ?」


なら、心なんて求めない。
君の存在だけでももらえればいい。
小さな身体、大きな目、高い声音。それだけでも手に入れば、それで………。


「抱かせてよ」

「―――っ、やだ!」


びくりと身体が震えた。
何を怯えてるんだ、自分は。
わかってたことに、何を憶する?

あぁ、イライラする。
僕は、――――何をしたかった?


突然手を止めたことに彼は不思議そうに首を傾げる。そっと心配そうに僕を見上げて、呟く。


「雲雀さん?」


じわり、と広がる苦しい想い。やっぱりいらなかったよ、こんなの。妥協なんて、できないじゃないか。


「―――っ、好きなんだ君が。綱吉」


君の存在も、君の身体も、君の心も、残さずに欲しいんだ。





君が好きだから。





少し顔を伏せて君は視線を外た。予想していた展開に笑えて来る。軽く自嘲して、彼から離れれば、小さな声が耳に届いた。


「ありがとう、ございます」


ハチミツ色の髪から覗く耳は見間違いだろうか、軽く赤く見えた。





君が僕を好きになるまで、
あとどのくらい?





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