ムクツナ
□どっちもどっち
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ピンポーン、という音と共に家にやって来たのは、どういう訳か綱吉と付き合うことになった六道骸。ニコニコと締まりのない笑みを漏らして出て来た綱吉にこういった。
「デートしましょう?」
「はぁ?」
突然の言葉に案の定彼はすっ頓狂な声を上げた。骸はぷくっと頬を膨らませて子供っぽい怒りの表現をした。
「だって、付き合いだしてから一ヶ月経ってるのにデート一回もしてないじゃないですか!」
「そんな顔でいわれても気持ち悪いだけなんだが……」
「な、酷いです! 僕の愛情が理解出来ないんですねっ!」
うぅ、と嘘泣きを始めた骸に心底ウザいと思いながらも、綱吉は一回部屋に戻る。
溜め息をつきながら出かける支度をする彼にリボーンはニヤリと意地悪く笑った。
「何だかんだオメー甘やかしてんな」
「あのまま放って置く方が面倒なことになるからだよ」
パーカーを羽織って綱吉は靴を履く。未だに嘘泣きをしている骸にあろうことか近所のおばさん達がちらちらとこちらを気にしていた。
「骸……、いつまでも泣いた振りしてんなら行かないけど」
「さぁ、行きましょうか! 綱吉君!」
綱吉の腕を引いて骸は歩き出した。一体何処に行くのか聞く気も失せて、骸に従う。
ズンズンと向かう先はおそらく並盛商店街の方。まぁ、デートと言ってもおそらくただ一緒に買い物等を楽しみたいだけだろう。
「綱吉君は何処か行きたい所ありますか?」
「うーん、特には。あ、でもちょっと小腹がすいたかな」
お昼前というのもあって綱吉のお腹は少し淋しそうな音を出した。それに恥ずかしそうに俯くと、骸は可愛い音ですね、とお腹を撫でる。
「や、やめろよ!」
「クフフ、では先に食事でもしましょうか」
ファミレスに向かう骸に手を握られて綱吉は困った。一応ここは外で、人がかなりいる場所。しかも地元だ。こんな風にされると人様からどう思われるか、綱吉はそれが気になって仕方がない。
「何食べますか?」
「うーん、オムライス」
「では僕はチョコレートパフェを」
「パフェって…ご飯は?」
「ご飯です!」
訳のわからない主張に綱吉は頭が痛くなってきた。身体に悪いとか、色々間違ってるよとか、言いたい事は山程あったが、何かもうどうでもよくなり、口を閉じる。
俺…何でこいつと付き合ってるんだろう…?
今更な疑問が頭の中に浮かんだ。