ムクツナ
□僕とキスしませんか?
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最近あいつが恐い。
赤く染まる空を見やって、綱吉は溜め息をついた。いつも恒例となっている補習だ。
とぼとぼと力ない速度で歩いて行けば、校門に他校の制服を着た男がいた。
「骸?」
「待ちくたびれましたよ、綱吉君」
盛大に溜め息をついて嫌味を言うこの男は綱吉の恋人となった六道骸。彼の言葉に逆に綱吉は呆れた表情を作った。
別に落ち合う約束は一切していないからだ。
「何でここに?」
「通り掛かったんです。そしたら丁度下校時刻だったので待ってました。しかし、考えが甘かったようですね。君の下校は運動部と同じだったなんて」
「悪かったな! それなら待ってなくてよかったし」
「君に会いたかったんです。嫌でしたか?」
直球な物言いに一気に顔を赤く染めた。これだからイタリア人は! と内心で叫んで、歩き出す。
「う、嬉しいに決まってんだろ」
おかしい、最初は自分の方が押してたはずなのに。
いつの間にか自分が振り回されていることに悔しくて、綱吉は肩を並べずに前を歩く。
その姿を骸は意味深に見つめてそっと足を早めた。
「―――、!!」
「置いて行かないで下さい」
手に感じる温もりに心臓が一気に激しく動く。きっちりと握られた手はまさしく恋人がいちゃいちゃと繋ぐあれで、突然のことに思考が止まる。