ヒバツナ

□願い事
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人と一緒にいることを嫌うはずの彼は、何故か綱吉を好きになった。
そして、彼の戦略により綱吉も彼が好きになった。


「何、考えてるの?」

「いえ、別に」

「君、嘘下手だよね」


あ、まただ。


彼の言葉に少し目を細めて、綱吉は俯いた。不満、とまでは言わない。けれど、少し気になってしまうそれに最近落ち込みつつある。


「ねぇ、何でこんなに出る種目少ないの?」

「へ? あぁ、体育祭ですか? だって俺が出てもクラスに迷惑かかりますし」


歯切れ悪く返されたそれが気に入らなかったのか、大袈裟に溜め息をついた。
何かおかしいことを言ったのだろうか、と綱吉は首を傾げる。


「あの強さ、見せてやればいいのに」

「な、小言弾はそんなことに使えませんよ!」


辛いし!


「あの時の君は、本当に綺麗だと思うよ」


強いことを認めてくれるのは嬉しいが、何だかそう言われるのは癪だった。
綱吉は頬を膨らませてうなだれる。


「どーせ、普段の俺はダメダメですよ」

「………君以外の人間には、君の魅力に気付いてるのにね」

「それ、どんな魅力のことですか?」

「………そうだね、君が体育祭で一つでも僕に勝てたら教えてあげる」


突然の提案に綱吉は目を見開く。どんな条件だ、それは。既に死刑と言われているようなもんだ。そう思った。





 
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