ムクツナ
□指輪と関係
1ページ/11ページ
カラン――
真っ暗な空間に乾いた音が響く。
カラン―――
その音を出しているのは、黒髪を後ろで縛る長髪の男。指にもつ指輪を冷めた視線で見ながら、もう一度弾いた。
カラン―――
「………霧のリング」
ぽつりと呟いたそれは自分が持つ指輪の正体。
彼、六道骸はボンゴレの霧の守護者。それを証明するのは、彼が持つリングだ。彼にとっては忌々しい物でしかない。
マフィアと関係付けるモノ。
「骸…」
「おや、ボンゴレ。何用ですか?」
足音なく入って来た人物に驚きもせず、骸は振り返る。あの時とは変わり、落ち着きを持ったボンゴレ10代目である沢田綱吉を見た。
ゆっくりと彼は近付いて、骸の前に立つ。揺れる瞳は彼が何か不安を抱えている証拠。
昔から、隠し事が下手だ。
「ボンゴレリングを回収しに来た」
「ほう、何をするつもりです?」
「―――破壊する」
予想外の言葉に目を見開く。最後の一言だけは、強い意志を感じた。
常に弱々しく、自信がないこの青年は、しかしボスとして、誰かを守る者として、強い決意を時にする。
「クハ、それは思い切りましたね。別にいいですよ」
遊んでいた指輪を綱吉へと手渡した。