Short Story

□07/20
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「はっぴーばーすでー」

パァン、という小さい爆発音を教室内で響かせれば、やられた相手以外の級友達からも、驚きと多少の殺意が混った視線を浴びる

「……シバく」
「やだなぁー、怖いやん」
「何の用っすか?」

「今日は、アメリカの火星探査機バイキング1号が火星に着陸した日、アポロが月面着陸の日、ハンバーガーの日、Tシャツの日、ビリヤードの日、そして、海の日。それ以外には何の日でしょーか」
「……俺の誕生日」















紙吹雪やら紙テープの掃除を一通りした後、俺の席に話をする

「てっきり忘れてると思った」

今日、7月20日は俺の恋人―――財前 光の誕生日

「あー、ぶっちゃけ忘れてたけど」
「でしょうね!」



「しかし、誕生日なのに相変わらずテンション低いな。もっと『はっぴーやっぴっぴー』みたいな」

両手を上に上げ、首を傾げる俺に額の血管が浮き出る程に、俺を睨み付ける

「死ね」
「やっぴっぴー」
「本間、殺すで?」
「………やっぴっぴー」

―――そろそろ殺される

そう思い、話題を変更

「プレゼント何が良い?」
「何が……って、もらえますよね?」
「やるよ。だから何が欲しい?」

要約しよう!
財前の欲しい物がイマイチ分からない
下手に買って、失敗したくない俺は財前に聞いて、それを買おうという答えに達した。
サプライズ感ゼロだけどな!


「本間、サプライズ感ゼロっすわ」
「しゃーないしゃーない」

サプライズ感よりは、喜んで欲しいし


「何でもええの?」

―――ん?なんか、いい気がしないぞ?


「そんな高額商品は不可能やで?あと、死ねとかそういう系は無理や」

やっぱ、俺殺される?
あー。でも、好きな人の誕生日が命日っていうのもアリか……。

「……特に無いんすけど」
「え?」

まさかの?
欲しい物無しって、破綻してんじゃん

「それ無し!」
「なんで、来て下さい」

そう言って、俺の腕を掴みグイッと引っ張っていく





「どこ行くん?リンチ!?」
「なんで、恋人リンチするんです?」
「やっぴっぴー」
「……リンチにします?」

リンチを必死に拒否すると、はぁ、と溜め息を吐く財前。そしてそれに怯える俺



「……って、こっちって下駄箱ですよねー?」
「……。」
「今から授業始まりますよねー?」
「……。」
「おーい!!?」









「欲しい物無いんで、一緒に見つけて下さい」
「……お、おう」
「顔、真っ赤っすよ」







07/20
Happy Birthday おめでとう。光








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