short story


□「シャーマンキング様」
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シャーマンキングになってからの生活は、あまりいいことだらけではない。


十祭司は小煩く、それぞれが好き勝手に動くことが多いせいか、シャーマンキングに使える十祭司と名乗るほど言うことは聞いてくれない。

マグナやニクロムなど、元々僕の下にいた奴なんて未だに「ハオ様」呼びが抜けないところもある。

もう人としての名前は要らないと、何度も何度も言ったのに。


自分に言い聞かせるように。

何度も。



「ハオおじさん、また来たのか。ホント暇だよな」

それなのに、新しい名前が増えてゆく。

「おじさんではない、シャーマンキングだ」

何度も言ったのに。
暇じゃない、とも。

けれどやることがないのは事実であり、何もしないことが神であるのもまた事実。
コタツで寝転がり「ヒマじゃない」と言い張る、冬休みの甥っ子に似ている。


「お、ハオじゃねえか。最近来る頻度上がってねえか?寂しいのか?」

ニヤ付きながら言う青い髪。
いい歳して居候を決め込むような情けない奴になんて、話し掛けられたくもない。


「ハオ様だ〜。今日は花ちゃんに何させに来たの?」
「騒々しいと思ったらまたハオ様か」

暖簾から顔を覗かせるこいつらも、マグナとニクロムと同じ、何も変わらない。
女の身でありながらとうに僕の背を越しているのに、未だに昔の呼び名は抜けないようだ。

背も顔つきも、みんな変わっていくのに。


「ハオとかハオ様とかもうやめろ!シャーマンキング様と呼べ!」


これだけは何度言っても変わってくれない。


それどころか、マリがぼそりと言った言葉。

「…そろそろ、ハオ、って呼んでもいいかな…?」


神の身分であるには悪い方にばかり変わっていく気がして。
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