short story


□ヨーコ
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二人で笑い合っているところに、チョコラブが通りかかった。

「オイオイ、やけに楽しそうだな?」

「おうチョコラブ!おめぇもコレ見てみろよー!」

そう言いホロホロはチョコラブの肩を寄せてハオの携帯を見せた。
それに思わず危機感を抱いたのはハオ。

「あんまり広めるなよ!葉に知られたら僕が怒られるだろ!」

「え?誰だよコレ?ハオのカノジョ?」

「な?な?そう思うだろ?」

ハオの気持ちなど露知らず、ホロホロと同じ質問を投げてくるチョコラブ。
ホロホロは面白くて仕方がないと言う感じだ。

チョコラブにネタばらしをすれば、驚きの後にくる爆笑。
笑わずにはいられないほど似合ってしまっているのが、葉にとって悲運だった。

チョコラブの思った通りの反応に気を良くしたのか、ホロホロは声高にこう言った。

「蓮にも見せに行こうぜ!?」

「バカホロ!葉にバレたら僕が殺されるって言ってるんだよ!!それにその写メも消されるぞ!」

その言葉に一瞬で我に帰るホロホロ。
静かに着席をして、コトンと机に携帯を置いた。
女装をした葉の写メを開いたまま。

「…それは…ダメだな…」

「ああ…消されるのはうまくねぇ…」

チョコラブも便乗し、少しばかり静まり返る空間。
静寂を破ったのはホロホロのつぶやきだった。


「……葉子…」


「……プッ」

「…っ…」

噴き出すチョコラブと、なんとか我慢しようとするハオ。
しかし噴き出してしまったチョコラブはもう抑え切れずに立ち上がった。

「葉子ってなんだよ葉子って!せっかくならもう少しヒネった名前考えろよ!」

予想の斜め上のツッコミにホロホロが反論をする。

「そこがツッコミどころじゃねーだろ!?」

その途端、三人の間にある携帯がメールの着信を知らせた。

「あ、葉子からだ」

メールを見たハオは何食わぬ顔で言う。

「葉子?なんて?」

「今日帰り買い物あるからついて来いって。荷物持ちだよ…」

「えーいいじゃねえかー葉子と帰るのかー」

この瞬間から、三人の間に“葉子”が根付き始めた。
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