It's a Wonderful World 【第二部】


□1日目 エントリー料
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** ハオ **


「…だ、大丈夫だって!」

まるで恐怖を払い除けるように、突然ホロホロが大声を出した。

「だってよ、みんな消えなきゃいいだけの話じゃねーか!
 14年後だったゴールがすぐそこになっただけだ!」

ホロホロは少し冷や汗をかいて、声も震えているように思う。
でも、前を向いてる。

「…ああ、そうだね」

大丈夫、みんな力を持ってる。
一回目のゲームで学んだこともある。

「なんとかなる、か…」
「そうそれだ!」

そう、笑い合う。

「じゃ、早くハチ公行けよ」
「お前もふたり連れて来いよ?」

無言でホロホロが手のひらを出した。

その意味が何も考えなくても分かってしまって、半ば無意識に僕も手のひらを上げる。

パシン、と乾いた音を鳴らした。


ホロホロに背を向けて歩き出す。
首にしたヘッドホンが軽く跳ねて肩を叩いた。

…双子になりそこねちゃったなぁ。

と、少しだけ苦笑した。
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