It's a Wonderful World 【第二部】


□world ends with Yoh
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少年は、人混みの中で目が覚めた。


いくつもの足音。
単調な繰り返しの音楽。
車のエンジン音。
人の話し声。
各種揃っている店舗のBGM。

そのすべてが混ざり合い、ビルに反響して、騒音となって耳に届いた。


目を開いて見えたのは、幾多の人々の靴。
弟から譲り受けたヘッドホンが投げ出されたように落ちている。
横たわっていた自分の身体の下には白線。
横断歩道だ。

自分はそんなところに寝ていたのかと、少年は慌てて上体を起こした。


変わらず響く足音。
横断歩道の真ん中で座り込んでいる自分など目もくれず、足早に過ぎて行く。
誰も自分にぶつかる事なく、いとも簡単に避けてゆく。
しかし、意図的に避けられているのではない。
行き交う人々を見上げても、誰とも目が合わない。


ああ、やっぱりか。
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