It's a Wonderful World 【第一部】


□7日目-3 14年分のお弁当
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ハチ公前でたたずむ少年は、誰にも見えない。

少年の嗚咽も聞こえなければ、アスファルトに落ちる涙も、誰も。


しかしそこに確かに少年はいて。
それ故に流れる涙を抑えきれずに、うつむいていた。

渋谷の無数の雑踏の中、少年の耳に届いたのはひとつの足音。
自分の目の前で、止まった。


「…ハオ?」

心配そうに覗きこんでくるのは、少年の弟の、葉。

葉には長い髪が隠す顔は見えないが、頬を伝う何かは理解ができた。
震える兄の肩に、そっと触れた。
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