It's a Wonderful World 【第一部】


□6日目-7 ストリートを漂流
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** 葉 **


4階は家具のエリアらしい。
家具を始めカーテンや照明まで、部屋に備えるありとあらゆるものが並んでいた。

「おお!ベッド!!」

展示用の大きなベッドを見付けるなり、オイラはボスンと飛び込んだ。

「おいおい、お前いくつだよ…」

ハオが少し困った顔でオイラを見ていた。
「だってよ〜、ここ最近布団で寝るなんて…っていうか寝ることなんてなかったじゃんか」
勝手に日が変わってくれるので、そんな機会とは無縁の生活。
昼寝が大好きなオイラはちょっぴり損をしたような気分でいたんだ。

白い枕を引っ張って腕にし、天井を見上げてほぅ…っと一息。
照明も売り物らしく様々な形のライトが目に入った。

オイラが寝そべっていたベッドにハオも腰を下ろした。
ダークグレーのパーカーが目に入る。

それから目を逸らすように辺りを見回した。
シングルベッドにダブルベッド。
ベッドの横へ置いておくチェストや小さな照明まで。
何でもあるその場所でオイラの目を引いたのは、シンプルな二段ベッドだった。

「…二段ベッド」

呟くように言うと、ハオが肩越しにオイラの方を見た。
「二段ベッド、憧れてたんよな」
言いながらさっき見付けたそのベッドを指差した。

「上の段、楽しそうじゃねえ?」
ハオにそう言ってみると、ハオは小さく笑って、
「そうだね」
と興味なさそうに答えた。
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