It's a Wonderful World 【第一部】


□6日目-5 KIDS
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** 葉 **


15時ピッタリにライブは始まった。
轟音とも思えるスピーカーの音。
色とりどりの照明。
人の歓声。

ここはA-EASTの二階席。

少し遠く聞こえる音を背に、オイラは包帯を留めた。
ステージに立っている死神がくれた包帯。

ハオの腕に巻かれたそれを見ながら、一言言った。

「…ちゃんと言えよ」

「…言ったって治るものじゃないだろう」

それもそうなんだけれど。

よく見てみると、擦り傷の他にもハオの手には細かい傷が付いていた。
あれだけ派手に割れたガラス。
その傷の数は当たり前とも思えた。

オイラがボーッとしてなければ、少しはマシだったかな。

「…ありがと、な」

少しだけ照れくさく感じたけれど、言ってみた。
ハオは目を合わせずに興味なさそうに答えた。

「今はお前に消えられると困るんだ」

まぁ、確かにそういうゲームだからな。

その次にハオはこう言った。

「身体があるわけでもないし、明日には消える傷だ。いくら出来てたって変わらないさ」
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