It's a Wonderful World 【第一部】
□6日目-4 ガラスの雨
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** 葉 **
何も耳に入らなくなるほどの沈黙。
オイラの視界が真っ暗になり、身体のバランスが崩れた。
背中からコンクリートに倒れ感じた衝撃と同時に、またノイズの大きないななき。
ノイズの声の余韻が消えようとした時に、オイラの耳には乾いた音がいくつも響く。
カシャン、キンッ…キンッ…パキィン…
この音は、そうだ。
ガラスがコンクリートに降り注いで、跳ねる音。
ぶつかって弾けて消える。
不自然な倒れ方をした身体を捩ると、うまく自由が利かない。
「ん…」
薄っすらと目を開けば、眩しい太陽の光が目に刺さった。
それを遮るように見えたのは、ハオの顔。
「葉!?何ぼやっとしてるんだ!?」
「え…あ、おお…」
オイラを見下ろすハオの顔は少し必死で、心配そうで。
オイラと同じだと言うパーカーの色が、さっきオイラの目を覆った色を思い出させる。
ああ、ハオが助けてくれたんだな。
「っ…早くスキャンしろ、時間がない」
一瞬ハオが顔をしかめた。
ノイズの音がうるさいんだろうか。
立ち上がったハオの背中から、ガラスの破片がカランと落ちた。
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