It's a Wonderful World 【第一部】


□6日目-3 暗黒童話
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** 葉 **


残り時間は1時間。
オイラ達はまたスクランブル交差点付近へと戻っていた。

あの死神が、一番それっぽそうな奴を教えてくれたからだ。


「怪しいっつったら、BJって奴だな。
 デスマーチのライバルバンドやってて、最近俺達の方が人気あるもんだから嫉妬してんだ」
「バンドの世界も大変なんだな〜」
「実力の世界だからな。だからこそ、こんな卑怯な手で邪魔してくるなんて許せねえ!」
「で、そいつの居そうな場所は?」

「あいつは最近ちょっと危ねえ奴等と付き合い始めたって噂だ。
 噂が本当なら、そういう奴等が居そうなところ…宇田川町の路地裏か、渋谷駅のガード下だな」


「まずは宇田川町ってところから行ってみようか」

死神に訊いた道を思い出しながら辿る。
スクランブル交差点から、センター街入口を通り、AMX前を駆け抜け、千鳥足会館前へ。
その先にあるのが渋急ヘッズ、そのさらに奥が路地裏だ。

路地裏という名にふさわしく、少し薄暗い。
目立った店もなく、細かいゴミが目立つ。

でも、それらしき人影は少ない。
昼間だからだろうか。

オイラ達は人には見えないけど、いないに越したことはない。
“危ない奴等”を相手にするのはちょっと怖かった。
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