It's a Wonderful World 【第一部】


□6日目 デスマーチ
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** 葉 **


スクランブル交差点。
オイラは目が覚めてからずっと、人混みを眺めていた。

くぐもった音が、低く鈍く耳に届く。

トントン、と肩を叩かれた。

オイラはヘッドホンを外し、後ろを振り向いた。

「メール、来てるよ」

ハオは携帯をポケットから取り出しながら言った。
ヘッドホンで耳を塞いでだから気付かなかったみてえだ。
オイラのポケットの携帯からも音が出ていた。

画面を確認するのはほぼ同時。
タイマーが表示されるのも同時だった。


[15時にA-EASTの視界を支配しろ]

いつも通りの淡々としたよく分からない命令文。
違うことと言ったら制限時間ぐらいか。

手のひらのタイマーと携帯の時計を見比べると、ちょうど15時に00:00になるように設定されていた。

「…視界を支配って…なんよ?」
ハオに訊いてみるも、分からないというように首を傾げられた。

「とりあえず、A-EASTまで行ってみよう」
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