short story
□右に寄れ! 【拍手小説】
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** 葉 **
ある日の学校帰り。
オイラはいつも通り、アンナとまん太と一緒に下校していた。
その日、いつも通る通学路で、水道工事をしていたんだ。
けたたましい音、作業員の人が丁寧に頭を下げている絵が描いてある看板。
そして、歩道が塞がれているため、誘導してくれる作業員。
「申し訳ありませんが、左側通行でお願いします」
そう赤い棒を振る。
オイラ達は左側通行に移った。
元々片側しか歩道のない、狭い道。
その片側だけの歩道が工事中ときて、移された狭い白線の内側。
夕方という時間も手伝ってか、それなりの車の交通量があった。
並列で歩くのは危ないだろうと、各々が自然と一列に並ぶ。
いつしかまた右側に戻るのが面倒になってしまって、そのまま狭い白線の内側を歩き続けていた。
すると、後ろから轟音をたてて走ってくる大型トラック。
対向車がなければ安全だけど。
オイラたちが車道に出なければ安全だけど。
そんな事を考えるも、とりあえず注意だけでも。
と、オイラは前にいる2人に言う。
車道を走る車の騒音に負けまいと、少し声を張り上げて。
「危ないから、右に寄るんよ!」
次の瞬間、トラックが轟音と共に通り過ぎた。
右側を。