ハジメテノオト 【前編】


□第6廻 歌
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** ティファ **


呆れた。
何か歌を聴かれただけなのに、脅迫の交換条件みたいになってる…。
冷静に考えれば、私が授業をプチボイコットして歌ってた事なんて何の脅迫にもならないと思うのだけど…。
そりゃ私だってあんなところで歌ってたのを聴かれたのは恥ずかしい。
でも、それを言いふらすような事をして、この子に得があるとは思えない。
そもそもこの子は…。

それを踏まえると、この子は何がしたいのかわからない。
強いて言えば…歌が聴きたい?
まさか。
私だってそこまでうぬぼれてない。

でも聴いてもらえるなら…嬉しい。
自分が歌が上手いとうぬぼれてる訳でもないけど、頼まれたのなら仕方ない。
そんな風に自己完結。

「何でもいいの?」

そう聞くと、彼はうなずいた。
そっか。
なら見ててよ。

本気出した私の声はすごいよ。
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