It's a Wonderful World 【第二部】


□world ends with Yoh
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** ハオ **


行こう。

足に力を込めて立ち上がった瞬間、カラン…と乾いた音が耳に届く。
振り向けば、先ほどまで自分が座り込んでいた場所に、黒くて丸い物が落ちていた。

ああ、そうか。

黒字に白抜きでガイコツの絵が描いてあるバッヂ。
手にとっても何も感じない。
前にここでこうしてこのバッヂを拾い上げた時は、それこそ意識が飛ぶかと思ったほどだったのに。

もう大丈夫。

嬉しくなって、頬が緩む。
バッヂをポケットに押し込んだ。
あいも変わらずダークグレーのパーカーだ。
じゃあ葉も前と同じかな、と頭の片隅で思った。



ハチ公像前へと歩く途中、たくさんの足音の中でひときわ大きな足音が耳に聴こえた。
誰かが走る音が自分に近付いて来る。

後ろを振り向いた瞬間、その足音の主は僕の目の前で止まった。
よほど全力で走って来たのか、荒い息に肩が上下している。
それと共に揺れる水色の髪。

「よお!」

ホロホロがおでこの汗を拭いながら明るい声で言った。

「こんなところにいたのか〜!チョコラブとリゼルグ見なかったか?」
「いや?」

聞けば2人を探すためにこの辺を走り回っているという。
あの2人はハチ公前集合って知らないからな。

「そっか〜、じゃあもう少し探してみるわ。お前は早く葉のトコ行ってやれよ!」
「もうハチ公前にいるのか?」
「おお、パートナーが来んの待ってんぞ!」

ヘヘッと笑いながら言うホロホロ。
じゃあ僕も早く行かなきゃな、と別れようとした瞬間、僕とホロホロの携帯が同時に鳴った。
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