骸雲小説2

□最高気温32℃
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「生き返る…」


行き先はまだ一度も来たことがなかった新設のデパートだった。
入った途端にぶわっと吹きつける冷たい突風を思わず手を広げて全身で感じた。


「雲雀君、雲雀君、屋上行きましょう!」


一足先に入っていた骸がフロアガイドを指で辿って、「屋上」と書かれた所を指で突いた。


「嫌だよ、屋上って外でしょ?暑いのに暑い所に行ってどうするの」


「いいから、行きましょう!」


僕の言うことは半分も聞かないで、骸は僕の手を掴むと大股にエレベーターへと歩みを進める。
丁度上から降りてきたエレベーターから降りてきたのは親子連れが多くて、なんとなく場違いな気がして不安になりちらりと骸を見上げる。


「何ですか?」


骸は僕を見下ろすとにこにこと笑いながら僕の髪をまるで犬にするようにくしゃっと撫でた。
そのいつもと変わらずそっと撫でる大きな手になんとなく安心して頭を押し付ければクフフ、と笑い声が降ってくる。


「相変わらず、可愛いですねえ」


骸はそう言うと腰を屈めて僕に顔を近付けると、至近距離で見つめてくる。


「ちょっと、近い!」


「いいじゃないですか、エレベーターの中、二人きりですし」


二人きりだからこそ、ここまで近付かれると恥ずかしい。
必死で骸の胸を押し返すけれど、その手を掴まれてぐっと顔を近付けられる。


「おや、頬が赤いですよ?」


クス、と意地悪く笑って掴んだ僕の手の甲にキスを落とした。
手の甲に唇を甘く近付けたまま見上げてくる色違いの瞳が更に僕の羞恥を煽ることを骸は知っているのだろう、瞬きをしながら執拗に見つめてくる。


「雲雀君」


ゆっくりと骸の唇が僕の名前を紡ぎ、手が頬に添えられる。
その時、チン、とエレベーターが最上階への到着を告げ、僕は骸の熱い視線から逃げるようにエレベーターを降りた。





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