骸雲小説2

□せいいっぱいの純情
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貴方に言われた驚愕の一言。


「骸って僕のペットみたい」

「あの、どうしてです?」

「だって君僕の顔を見るなり駆け寄ってくるでしょ?」


さっきだってさ。そう、とどめだ!と言わんばかりに言い放たれ僕は一気に凍り付いた。そんな僕なんかお構いなしに歩みを進めていく貴方。何も言い返せない自分にも少しいらついた。

僕はそれなりに主導権を握りたいと思っていますし、そんな風に思われているなんて心外ですよ。
そりゃ貴方の顔を見たら駆け出したくなるなんて言ってやりませんけど、愛故の行動なんですからそれくらい指摘しなくていいじゃないですか、ましてやペットなんて人間ですらないじゃないか。


「まぁ、君のそんなとこも好きなんだけど…」

「え?今なんて」


曖昧ながらも聞こえた好きの二文字。なんでこの人はこんなにも不意をつくのが上手いのだろうか。僕も僕で口元は綻び到底見せられる顔ではないだろう。本当に可愛い人だ。思い切り抱きしめてやりたい、なんて思っていても今にも触れ合いそうな手と手を掴み取り手を繋げる勇気さえない僕が出来るなんて思えない。恭弥から繋いでくれればどんなに嬉しいか、しかしどうやら彼は彼で今にも倒れてしまうんではないかと思わせる程頬を紅潮させている。


「恭弥、」

「どうした…の」


こちらを振り向いてくれたところで優しく漆黒の髪を撫でてやる。これが今、僕の出来る精一杯のスキンシップ。それと甘い囁きを一つだけ。


「僕も好きですよ、いや大好き…と言った方が正しいですかね」

「っ、僕もうこっちだから」


そう言って慌てふためきながら背を向け急に帰路を変えた貴方。
そんな姿を見て一人微笑む僕。




せいいっぱいの純情
(髪の感触が…)
(忘れろ、この変態が。)



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