骸雲小説2
□金のなる木の育て方
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「骸、骸!!」
パタパタとスリッパの音がして雲雀君が僕の方に駆けて来る。
「はい?」
雲雀君がストン、と本を読む僕の隣に腰掛けて僕の手をぐいぐい引っ張ると指に指輪を通した。
「プレゼント、お揃い」
嬉しそうに頬を染める雲雀君。
自分も指に通した金色の指輪を通した細い指を目の高さまで持ち上げて光に当てて微笑む。
「雲雀君…ありがとうございます」
赤く染まった頬に唇を押し当てると、くすぐったそうにクスクス笑った。
そして柔らかくて甘い、唇に口付けた。
あの後、僕は雲雀君に気付かれないようにジュエリーショップに行って、純度の高い金のペアリングを買ってきた。
それをあの木の下の、なるべく根の近くになるように埋めて置いたのだ。
「花が咲いたから、木の下を掘ったら指輪が二つ、できてたんだ!」
興奮して目をキラキラさせる雲雀君が僕の指輪をはめた指に自分の指を絡ませてキュッと握る。
こんな可愛い雲雀君が見れるなら、木を育てるのもいいかもしれない、なんて思った。
でも僕は。
綺麗な紫色の花の咲く花を育てたいです。
雲雀君のように可憐で可愛らしい花を。
君と一緒に。
Fin.