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□愛玩動物 ***
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桜を見に行き偶然、いや悪夢にも拾ってしまった淫魔のツナを獄寺はもてあましていた。

「ご主人様ぁ」
頭の悪そうな甘ったるい声に怪訝そうに、未だに大きめのTシャツ一枚で生活するツナを無視し、黙々と勉強をする。眼鏡越しにチラリとだけツナを一瞥するとすぐにレポートに視線を移す。

拾ってきてからツナは何度か寝ているときに下履きをおろそうとしたり、耳を噛んできたり、コトに及ぼうと必死だった。
しかし獄寺は頑なに拒み、ツナは獄寺の作るご飯を口にするだけで、お腹は満腹にはなりはしたが常に飢えていた。


「ご主人様…お手伝いします」
「はぁ?」
突然覗きこんできたツナに多少怪訝な顔をしつつ書きかけのレポートを見せてやる。
「?」
獄寺のやっている勉強はとてもあのぽんやりとどこか抜けたツナに分かる訳もなく、困ったように眉尻を下げ抱きついてくる。
「淫魔はそんな勉強しなかったもん」
誤魔化すように揺れる尻尾が顔を隠すツナの表情を出してしまう。

「どんな勉強してたんだよ?」
聞きながら尻尾を手にとってみる。先が少し膨らんだ、感触としては肌の延長のような……
「ひ、にゃっ…ぁう」
突然ツナの体がビクビクと震える。
「ん?」
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