逃水の宴
□Ready?
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やっと一息吐いて、振り向いたそこには先ほど弓矢を放った少女の姿。
「……別に、迎撃など要らない」
「無駄に傷付くよりはマシでしょ?」
正直、詩音の言葉は尤もだった。が、一欠は不機嫌を装って視線を逸らす。
元来無口な二人の会話はそれで終わる。かと思いきや、一欠が言い縋った。
「別に、傷付くことはいとわない」
「……それであなた以外のひとが心を痛めても?」
過ったのは青い子竜。
一欠は舌打ちをして、会話を途切れさせた。同時に魔物の気配に気付いたからだ。
「…足手まといにはなるなよ」
「離れたところに居るから」