逃水の宴
□木漏れ日ひかりて
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人気のない裏庭、一欠とその前に居る女子生徒を見れば明白だ。蓮華はくすくす笑う。
「ばっかねぇ。呼びだされてノコノコ付いてく馬鹿なんて、あの子くらいなもんよ」
「だって一欠だもの」
「で、センカ達はそれを見てるってわけ?あの子らも物好きねぇ」
「そんなセンカ達を見てる私たちも、物好きだと思うけど」
詩音の言葉に蓮華はからからと笑って、「それもそうね」と肯定した。そして、詩音も彼女の隣に立って一緒にセンカらを見上げる。
「あ」
「ん、何?」
「一欠が、センカ達に気付いたみたい」
「あはは、そーでしょうねぇ」
さて、と蓮華は体を引っ込める。続いた詩音は、歩き出した蓮華を追う。
「さっそく、からかいにいきましょーよ。一欠もすぐ帰って来るでしょ」
「……うん」
そうして二人並んで、教室へ向かう。
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