素敵文
□迎陽花
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「セラー!」
夏の輝かしい太陽を背に、一杯の光を受けて大きく手を振る幼き影。
薄い麦わら帽子の長いつばを押し上げて、光の眩しさに僅かに目を細めた。
力一杯嬉々として大きく振られる手に、小さく、手を振り返す。
幾分気の早い夏をさらう涼風が、ロワ=セラフィの長い銀髪を揺らした。
ラズベリルのシュガーピンクの髪も振られる手に合わせて揺れている。
不意に流れていった風を、ロワ=セラフィの視線は追い掛けて。その先は湖が穏やかにその水面を緩やかな風に任せていた。