鏡映し
□ゼッタイ条件
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「そんなモンだろ」
「エスカデも、経験アリ?」
突然の巫山戯た口調にエスカデは面食らって、一瞬言葉に詰まった。
「…だったらどうなんだよ」
「へぇ。誰?」
好奇心は身を滅ぼすだけ。
目の前の彼は其れを知っている筈で。
「さーな」
言って、エスカデは其のうつくしい金の髪をぐい、と引き寄せた。
「わ、」
「お前だって言ったら、どうする?」
それ以上はルール違反。
踏み込むのは赦されてはいない。
「っエスカデ…」
耳を舐めてやれば、彼は甘い吐息を吐き出すのに。
「…駄目、だよ」
全てを拒絶する。コトバで。
「俺達は違うんだ。決して恋人同士じゃないんだ」
友達以上、恋人未満。
「…エスカデ」
何処迄も堕ちてゆく。
奈落へ?彼へ?
「―――っ!」
かたん、とゆっくり、カップが倒れた。