鏡映し

□小さな恋のうた
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センカの視線は二匹のペット達から離れない。けれどそれは何所か遠くを眺めているようにも見える。
例えばその向こうに見える青い山を。例えばここには無い広い荒野を。例えばここには居ない誰かを。


「だって、好きなんだから」


やがてじゃれ合っていた二匹は、此方に気付いたのかこれまた仲良くこっちへ駆けて来る。
みどりの芝生を踏みしめて。

手を広げて迎えたセンカの腕の中にすっぽりと納まって、すりすりと身を寄せる。
擽ったくなって、センカは笑いながら逃げるように身を捩った。


「………分かんね」


そんな一人と二匹を見て、他に戯れるペット達を眺めて、バドは言った。
ぐるぐるぐるぐる、思考が回る。けれどそれは何の答も導き出さない。否、一体回答なんてあるのだろうか。そもそも何の答?

そんなバドの言葉は聞こえなかったのか、センカは変わらない表情ですり寄って来る二匹と戯れている。
ペットが増えたな、とバドは回る思考の中、思った。しかも厄介なペットだ。ゴシュジンサマより強い。


  
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