影繋ぎ
□青い空を見上げて
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【青い空を見上げて】
鳥篭から出て本当によかったと、エレは思った。
外の世界で伸び伸びと、広い海や空を見ながら歌えるなんて、なんて爽快なのだろうと。
そして今日も、鳥乙女の歌声が青い海の上で踊る。
「………」
砂浜に仰向けに、寝ているのか起きているのか分からない様子の一欠の頬をぺちぺちと叩いている村雨を眺めながら、エレは歌った。
沢山の想いを込めて。
「村雨、さん」
エレはそっと子竜を呼んだ。
「一緒に歌いましょうか」
一瞬きょとんとして、それから子竜は嬉しそうに何度も首を縦に振った。
子竜は歌を知らない。歌うことを知らない。
けれどもこの時は、無性に「歌い」たくなったのだ。