影歩き

□悦びの歌
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沢山の珠魅に囲まれた中、エメロードは泣いた。
己を恨みながら、泣いた。

「ごめんね、姉様。あたし」
「エメロード」
「あの時泣けなかったのに」


でもね、今、無性にかなしいの。





ぽつりぽつり、屋根を叩いて。





「…ルーベンス」
「まさか、彼奴が」
「………」





ざあああ…、直ぐに大雨になった。





彼を知らないものは何故だか分からぬままに、ただ哀しくてやるせなくて、溢れるまま涙を溢した。





盛大な音が、天から降ってきた。
外は、嵐。





  
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