影歩き
□悦びの歌
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目が覚めるとそこは彩りの世界。
沢山の"仲間"の煌めきで、輝いていた。
そしてそれは佇んでいた。
歓喜と驚愕のざわめきの中、ひっそりと立っていた。
「氷華が」
傍らに立っていた瑠璃が、呆然と呟いた。誰に伝えるでもなく。
「石に、なったんだ」
きゅう、と声がしたので視線を向けてみれば、そこには彼の常の相棒の子竜が、石の彼にすがっていた。
「涙を、流して」
きゅう。喉の奥の悲鳴が、天を引き裂くように。
気が付けばざわめきは収まっていた。
「瑠璃」
レディパールは思わず呼び掛けた。
「お前、……涙が」
虹色の綺麗な雫が。
彼の瑠璃色の瞳から溢れていたから。
レディパールは彼に歩み寄った。そっと頬に触れ、流れる液体に手を伸ばす。軈て伝い落ちて石の粒となったそれは、紛れもなく。
「涙石…」
「…パールも」
そこで此方に意識を向けた彼は、驚きに目を見開いて言った。
「え…?」
「パールも、泣いて、る」
ひくりと、彼は喉を震わせた。溢れ出そうな叫び声を押さえて。
再び生まれたざわめき。注目は此方。
「何故…」
何故、涙が。
何故、彼は涙を?
「なんでっ…!」
石になることを知っていながら。
ぽつり、雫が。