逃水の宴
□木漏れ日ひかりて
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「あーあ」
教室の窓から見える光景に、センカはそう呆れた様に息を吐いた。
「なに、何?」
頬杖をつくセンカの隣から、風璃がひょいと顔を出す。同じように外を見て、センカの視線を追う。裏庭の金木犀の下、見知った姿を其処に見つけ、「あ」と声を上げる。
「一欠だ。何してるんだろ」
「……あの光景を見て「何してるんだろ」なんて言うのは君くらいだよね…」
きょとり、と瞬く風璃に、センカは疲れたように教えてやる。
「人気のない裏庭に、女子生徒が呼び出しってことは、一つしかないでしょ」
「……カツアゲ?」
「違う」
もう良い、と愛想を尽かされそうになって、風璃は慌てて訂正。
「うそ、うそ。分かってるから。告白でしょ、コクハク」
「………ほんとに分かってる?まぁ…良いけどね」
「一欠、モテるからねぇ」
「そう?」