逃水の宴
□ココロの在る場所
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「おでかけするの?」
家を出て、鍵をかけようとした所でそう声を掛けられた。
振り向くと、そこには興味津々に見つめる、緑の葉っぱの塊。
(違う、草人だ)
「おでかけするの?」
もう一度。
「ちょっと近所をね」
良いなぁ、と羨ましそうに草人が笑んだのが分かった。
それから彼はちょっと考えてから、草人に手を差し出した。
「一緒に行く?」
「!」
驚愕か歓喜か分からないほどに跳び上がって目をまんまるに開いた草人は、暫く後に嬉しそうに言った。
「行くっ!」
歪な手を重ねて。