逃水の宴

□08ハロウィン企画
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[[Prologue]]



「バド、はやくはやく!」
「待ってよコロナ!」


ばたばたと慌しく、尖がり帽子と黒いマントを羽織った小さな子供が駆けてゆきます。
それぞれの片手に掲げたジャック・オ・ランタンが、夜道を仄かに照らします。
それでも灯りは心許無いけれど、今日は大丈夫。
街中を人家の明かりが包むのです。

町はずれの小さな家から、二人の子供が飛び出しました。
魔法使いの仮装をした、この家の居候の双子です。
先をゆくのが姉のコロナ、後を追い掛けるのが弟のバド。
二人は手を繋いで、いっしょに明るい方へと走ってゆきます。


今日はハロウィン。小さなおばけたちが駆け回る日。



「ねえバド、どこへ行こうか?」
「んっと、そうだなぁ…」
「ししょーも、ゆっくりしてって良いよって言ってたから、ちょっと遠くでもいけるよ」
「コロナはどこが良い?」
「えっと…」


断崖の寺院へ

白妙の森へ

友愛の都市へ


 
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