逃水の宴
□08ハロウィン企画
1ページ/5ページ
[[Prologue]]
「バド、はやくはやく!」
「待ってよコロナ!」
ばたばたと慌しく、尖がり帽子と黒いマントを羽織った小さな子供が駆けてゆきます。
それぞれの片手に掲げたジャック・オ・ランタンが、夜道を仄かに照らします。
それでも灯りは心許無いけれど、今日は大丈夫。
街中を人家の明かりが包むのです。
町はずれの小さな家から、二人の子供が飛び出しました。
魔法使いの仮装をした、この家の居候の双子です。
先をゆくのが姉のコロナ、後を追い掛けるのが弟のバド。
二人は手を繋いで、いっしょに明るい方へと走ってゆきます。
今日はハロウィン。小さなおばけたちが駆け回る日。
「ねえバド、どこへ行こうか?」
「んっと、そうだなぁ…」
「ししょーも、ゆっくりしてって良いよって言ってたから、ちょっと遠くでもいけるよ」
「コロナはどこが良い?」
「えっと…」
断崖の寺院へ→
白妙の森へ→
友愛の都市へ→