逃水の宴
□お気楽のーてんき
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「いやー、迷っちゃったねー」
その陽気な声とは裏腹に、辺りは暗く静かな森。
今にも何か出てきそうな、鬱蒼と繁る木々が不気味で、日の光も殆ど届かない。
その為、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
「…俺じゃないぞ」
一欠は恨みがましく言って、からからと笑う風璃を睨む。
出掛けよう!と言い出したのは風璃だった。
良い陽気に昼寝を決め込む一欠の腕を、勿体無いと無理矢理に取って引っ張った。
眠気を堪えながら一欠は、前を歩く風璃の足だけを見詰め、付いていった。
その結果がこれだ。
これを迷子と言わずして何と言うだろうか。